障害福祉サービスを提供すると、事業所は国や市町村から報酬を受け取ります。
報酬を受け取るために事業所は請求業務を行いますが、請求額の元となるのが「基本単位+各種加算」で得られる報酬単位です。
計画相談事業における基本単位について、条件や計算方法を詳しく解説します。
サービス利用支援の基本単位
計画相談の基本単位は、職員の体制と相談支援専門員の担当件数で異なります。
各区分における条件と報酬単位は以下の通りです。
報酬区分 | 常勤専従の
相談支援専門員 |
担当件数 | 報酬単位 |
機能強化型
サービス利用支援費(Ⅰ) |
4名以上 | 40未満 | 1,864単位/件 |
機能強化型
サービス利用支援費(Ⅱ) |
3名以上 | 40未満 | 1,764単位/件 |
機能強化型
サービス利用支援費(Ⅲ) |
2名以上 | 40未満 | 1,672単位/件 |
機能強化型
サービス利用支援費(Ⅳ) |
1名以上 | 40未満 | 1,622単位/件 |
サービス利用支援費(Ⅰ) | 40未満 | 1,522単位/件 | |
サービス利用支援費(Ⅱ) | 40以上 | 732単位/件 |
職員配置について
以前は手厚い体制をとっている事業所に対して、特定事業所加算が算定されていました。
特定事業所加算は令和3年度の報酬改定で廃止され、加算ではなく機能強化型として基本報酬に組み込まれる形になりました。
常勤かつ専従の職員を多く配置するほど、報酬も高くなります。
常勤とは、事業所で定められている労働時間を満たしている従業員のことを指し、正規非正規などの雇用形態は問いません。
担当件数の計算方法
担当件数とは請求月の前6カ月間における、相談支援専門員1人あたりが受け持った計画相談の平均件数です。
担当件数は、以下の式で計算します。
前6カ月の相談支援件数の平均 ÷ 前6カ月の相談支援専門員の平均人数
実際の計算を、例を使って説明します。
例1)
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 合計 | 10月
(請求月) |
|
合計件数 | 45 | 40 | 40 | 45 | 40 | 50 | 260 | 45 |
うち計画相談 | 30 | 30 | 25 | 35 | 30 | 35 | 185 | 35 |
うち障害児相談 | 15 | 10 | 15 | 10 | 10 | 15 | 75 | 10 |
相談支援専門員 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 7 | 2 |
相談件数の6カ月平均:260 ÷ 6 = 43.333…
相談支援専門員の6カ月平均:7 ÷ 6 = 1.166…
平均担当件数:43.333 ÷ 1.166 = 37.163 件/人 < 40件
上記の例では、6カ月の相談支援専門員1人あたりの担当件数の平均が40件未満です。
10月分の請求は45件全てをサービス利用支援(Ⅰ)で算定できます。
担当件数が40件以上の場合
担当件数が40件を超えた場合は、サービス利用支援費(Ⅱ)を算定しますが、全件が(Ⅱ)になるわけではありません。
例を用いて説明します。
例2)
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 合計 | 10月
(請求月) |
|
合計件数 | 50 | 45 | 50 | 45 | 45 | 50 | 285 | 45 |
うち計画相談 | 30 | 35 | 35 | 35 | 35 | 35 | 205 | 35 |
うち障害児相談 | 20 | 10 | 15 | 10 | 10 | 15 | 80 | 10 |
相談支援専門員 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 7 | 2 |
相談件数の6カ月平均:285 ÷ 6 = 47.5
相談支援専門員の6カ月平均:7 ÷ 6 = 1.166…
平均担当件数:47.5 ÷ 1.166 = 40.737… 件/人 ≧ 40件
上記の例では、6カ月の相談支援専門員1人あたりの担当件数の平均が40件以上です。
そのため下記の算定式で出された件数については、サービス利用支援費(Ⅱ)を算定します。
(平均担当件数 - 39件) × 相談支援専門員数の平均
例を当てはめてみましょう。
(40.737件 - 39件) × 1.166 = 2件(少数点以下切り捨て)
10月分の請求45件のうち、43件はサービス利用支援(Ⅰ)、2件はサービス利用支援(Ⅱ)を算定できます。
継続サービス利用支援の基本報酬
継続サービス利用支援費の基本報酬の条件と報酬単位は以下の通りです。
報酬区分 | 常勤専従の
相談支援専門員 |
担当件数 | 報酬単位 |
機能強化型
継続サービス利用支援費(Ⅰ) |
4名以上 | 40未満 | 1,613単位/件 |
機能強化型
継続サービス利用支援費(Ⅱ) |
3名以上 | 40未満 | 1,513単位/件 |
機能強化型
継続サービス利用支援費(Ⅲ) |
2名以上 | 40未満 | 1,410単位/件 |
機能強化型
継続サービス利用支援費(Ⅳ) |
1名以上 | 40未満 | 1,360単位/件 |
継続サービス利用支援費(Ⅰ) | 40未満 | 1,260単位/件 | |
継続サービス利用支援費(Ⅱ) | 40以上 | 606単位/件 |
担当件数の計算方法については、サービス利用支援費と同じです。
相談支援事業の基本報酬については、やや複雑な面がありますが、基本的には手厚い体制をとっている程、高い報酬を得られます。相談支援専門員の増員は簡単ではありませんが、報酬が上がると従業員へ還元できたりサービスの質を向上させることも可能なので、検討してもいいかもしれませんね。